夢の3週間
先生と別れた。
たったの3週間だったけれど、心の深いところに刻み込むような気持ちで、心と時間を費やした恋だった。
予想以上に短くて、でもものすごく濃密な恋だった。
先生、本当にありがとう。
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彼氏と過ごす初めての週末を楽しみに仕事していた水曜日、先生から「土曜日の夜そっちに来ていい?」とメールが入った。
顧問をしている部活の大会で近くまで(といっても車で2時間)来て宿泊するのだという。
夕食が終わってから翌朝まで、宿を抜け出して会いに来るって。
土曜の夜は友達と女子会の予定、帰宅が遅くなるかもしれない、と伝えると、それでもいいと。
金曜夜、初めて彼氏とセックスをした。
長い間体を重ね、唇をむさぼり合い、ベッドでも布団でもお風呂でも交わった。
「あたし、Kくんのこともっともっと大好きになってもいい?嫌いにならない?」
「もちろん。嫌いにはまだならないと思うよ」
「まだって?」
「あと80年くらいかな」
翌日の夕方までの22時間で、私はこの人との将来が欲しいと確信した。
そして、先生との恋を、終わらせようと決意した。
愛しくて大事な彼を失いたくなかった。
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メールでは言えなかった。
「明日xx時にそちらへ着けると思います」
「電話できるかなと思って、遅くまで待っていた。
xxに会いたいって言われて、嬉しがる声を聞きたかった」
先生からのメールは絵文字沢山で、愛情にあふれていた。
一週間前の私なら、嬉しさで舞い上がっていたのだろう。
けれど、女は残酷な生き物で、Kくんを愛しはじめている私にはもう、前ほどの熱量はないのだった。
先生は予定通りの時間にこちらへ着いて、女子会を終えて出てきた私を拾ってくれた。
運転席からにじみ出るような先生の愛情を右頬に感じながら、いつ言おうか、そればっかり考えていた。
セックスしたらきっと私泣いてしまう、無理だ、とも思った。
家について、濃いブラックコーヒーを飲みながら先生と話した。
「こないだ飲みに行くって言ってた人とはどうなったの?」
うそはつけなかった。私は洗いざらい喋って、
その日に付き合うことになったこと、彼がいかに素敵な人かということ、まだ一週間だけど彼を大事にしたいこと、先生とはもう会えないということ。
うつむいて話し続けていると涙があふれてきた。
先生は、かなり驚いていたけど、祝福してくれた。
2人並んで布団に横になって手をつなぎながら、沢山沢山話をした。
「xxに話したいことが沢山あったのになあ。もうこうやって話せないのか。」
先生も泣いていた。
何回も涙を流す先生の頭をそっと胸に抱いて、私もまた泣いた。
私のおかげで世界が違って見えるようになったのだと。
心も体も丸裸にされたんだって。
今まで固く閉じてきた心のフタを、わたしがするするっと開けたのだと。
でも人生って、本当に勉強になるなあ。
そんなにうまくはいかないんだなあと。
本当に夢のような時間をありがとう、と。
結局、先生が家を発つまで一睡もせずに2人で話していた。
セックスはしなかった。
「先生、わたし今日覚悟はできてる。でも、抱かれたら泣くかもしれない。セックスしなかったら少しほっとするかもしれない」と言うと、先生はやめておくと言った。
泣いて、笑って、また泣いて。
やっぱり今夜先生と会ってちゃんと伝えられてよかった。
「この思いはこのまま冷凍保存しておくから」
また私が、いつか俺に会いたいって思ったら連絡してと。
いつでもチンできるようにしておくからと。
私は本当に嬉しかった。
あれだけ恋焦がれていた先生と、ほんの短い間でも深くかかわることができて、その人の心の奥をのぞいて、裸にしたのだ。それを先生は私にとても感謝してくれた。
早朝4時半に家を出る先生と、固く長く抱き合った。
一度だけ唇に軽くキスされてまた抱きしめられた。
「xxの幸せと、いつかチンできる日が来ることを祈ってる」
「先生、また会える日まで元気で」
名残惜しそうに、ほっぺたをなでていった先生の右手の感触が左ほほから消えなくて。
玄関にしゃがみこんでしばらく動けなかった。
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もし彼氏がいなかったら、あのまま続いていたのだろう。
先生にどっぷりはまって、私も先生も奥さんとの離婚なんて望んでいないのだから、別れはそれこそ辛かっただろう。
これでよかったのだろうとほっとする。
私、また先生のファンに戻ります。
素敵な思い出を胸にしまって、彼氏を大切に生きていく。
神様、こんな恋をさせてくれて本当にありがとうございます。
私を愛してくれた男性のためにも、もっと幸せな女になろう。